私の見てきた限り、MAツールのスコアリングを業務で使いこなせている企業は、非常に少ないように思います。
「マーケティング活動がまだ未成熟で、そもそもスコアリング機能に触れていない企業」か、「意味のあるスコアになっていないにもかかわらず、無理やり“ホットリード”だと主張して営業へ渡している企業」か、多くはこのどちらかに分類されます。
今回は、スコアリングを機能させるための“前提条件”について解説します。
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泥の中から砂金を探す話ではない
少し前になりますが、国内のMAツールベンダーのセミナーで、登壇者が次のように語っていました。
「1,000件のお客様の中から、自社に興味を持っている顧客を探して電話するのは大変です。しかし、メールを送ってクリックした顧客を見れば、興味のある顧客が分かります。泥の中から砂金を探すような話です」

一見もっともらしい説明ですが、この思想で運用されたMAツールが期待通りの成果を出せなかったことは、MAに携わった方ならよくご存じだと思います。
クリックしたからといって、本当に興味を持っているとは限りません。
クリックは顧客にとってほぼノーコストの行動であり、クリックデータを積み上げても“意欲の高さ”を示すとは言いがたいのです。
そのため、“泥の中から砂金を探す”ようなスコアリングの考え方は一巡し、今では多くのMA導入企業でスコアリング機能は埃を被っている印象すらあります。
金の中から、より大粒の金を見つける発想へ

本来のスコアリングとは、「優れたコンテンツが生み出した成果を測定する指標」です。
つまり、先に“成果”が出ていることが前提であり、ここでいう成果とは、顧客の明確な購買行動です。
- 資料のダウンロード
- セミナー参加
- 問い合わせ獲得(最も強い行動)
こうした行動が生まれない状態で、「スコアリングで見込み顧客を探す」と考えるのだとしたら、それはマーケティング側の甘えにすぎません。
また、問い合わせや資料DLなどが得られたとしても、営業がすべて対応できる量であれば、スコアリングの出番はやはりありません。
スコアリングが本当に役に立つのは、次のような状況です。
- 大量の問い合わせや資料DL、セミナー参加者が発生している
- 営業チームのキャパシティではすべてをフォローできない
このときに、優先順位付けの指標として初めてスコアが効いてきます。
「決裁者であり、資料DLもして、セミナーにも出席している。問い合わせはまだだが連絡する価値が高い」
こうした判断にスコアリングが活きてきます。
大粒の金に対するアプローチの強度を決める
もし、購買へ向けて行動を起こしている“大粒の金”のような顧客が多数いるのであれば、スコアによってアプローチの強度を変えることができます。
● 直筆の手紙を外注して送る
営業が直接コンタクトする余裕がない場合でも、問い合わせ一歩手前の顧客にだけ“有料アプローチ”として手紙を送る、といった施策が可能です。
● より営業色の強いコンテンツを配信する
「問い合わせ直前」であると分かっていれば、宣伝色の強いコンテンツを送っても嫌われません。
むしろ必要な情報として受け取ってもらえ、オプトアウトを増やさずMA運用を維持できます。
優れたコンテンツが先、スコアリングは後
ここまでの話を振り返ると、スコアリングが機能する前提はとは以下
「購買に向けた顧客の行動が、営業のキャパシティを超えるほど発生している状態」を指します
これが満たされていなければ、どれだけスコアをつけても意味がありません。
つまり、スコアリングよりも先に取り組むべきなのは顧客の行動を引き起こす“優れたコンテンツ”を作ること です。
もし現在、問い合わせや購買行動が「取りこぼすほど大量に発生していない」のであれば、まずはコンテンツづくりに注力すべきです。
スコアが活きるマーケティング体制を整えることを、ぜひ目指してみてください。

ソフトバンクに新卒入社後、法人向けセールスとしてキャリアをスタート。その後は法人マーケティングチームの立ち上げに携わり、ユーザーとしてSalesforceの活用を経験。以降、アビームおよびPwCにてSalesforceを中心としたCRM領域のDXプロジェクトに参画。構想策定から要件定義、開発、実装まで、幅広いフェーズでシステム導入プロジェクトに従事
