一度使えば価値が分かる、そんな優れたサービスは世の中に数多く存在します。
しかし、その「一度使う機会」が得られないことがハードルとなっていると感じる営業担当者も多いのではないでしょうか。
本記事では、顧客が意図せずサービスの価値を体験し、理解するように仕向ける方法について解説します。
サービスの効果を購入前に体験してもらう
本記事における「サービスの価値を体験する」とは、PoC やデモを顧客が主体的に申し込むことではありません。
PoC やデモに進む段階では、顧客はすでに一定以上の価値を認識しています。
本記事で解説する提案手法は、こちら側の働きかけによって、顧客が商談プロセスの中で一方的にサービスの価値を体験することを目指すものです。
顧客がまだサービスに価値を認めていない段階で、意図せず体験させることが重要になります。
ここでの「体験」は、実際にサービスを利用するだけでなく、顧客がサービス利用を“想像の中で”体験することも含み、これには主に次の二つの方法があります。
- 営業プロセスの中でサービスを部分的に利用させる
- サービスの成果を顧客自身に証明させる
提案時に顧客がサービスを部分的に利用する
提供するサービスの一部を切り出して、商談プロセスの中に組み込む方法が考えられます。

分かりやすい例としては、自社サービスがコンサルティングである場合、課題や将来像の仮説を提示し、契約後のサービスの一部を契約前に示すことができます。
コンサルティング以外でも無系商材の場合は同様の発想で、契約前にサービスを分割して提示しやすいです。
例えばシステム開発の場合、業務プロセス上の課題や解決策となるITソリューションの仮説を提案時に提示することで、顧客にサービスの品質を契約前に体験させられます。
自社の商材が無系商材でない場合でも、商材を「コンサルティング化」して販売する発想が有効です。
仮にハードウェア製品であっても、導入効果を担保するコンサルティングを組み合わせてサービスとして提供することで、コンサルティング部分が契約前に提供できるサービスの一部となります。

ここでのコンサルティングはサービスパンフレットの売り文句を伝えるのではなく、商談相手の顧客を前提にロジックを積み上げ、商談相手が得られるコスト削減、売上拡大を確信できるシナリオの仮説を構築することです。
顧客が提示した利益の仮説に納得すれば、より具体的な検討に向けて契約に進みやすくなります。
提案時に顧客自身にサービスの成果を証明させる
提供サービスの効果を、顧客自身に証明させる設計を行うことも有効です。
商談プロセスの中で、顧客が意図せずサービスの狙った行動を実行するように設計します。
たとえば、生成AIによるライティングサービスを提供している場合、ある顧客向けに実際の訴求メッセージをAIで作成し、その文章を用いてメールマーケティングを行いアポイントを取得します。
そして商談の場で「これはAIが生成した成果です」と提示することで、顧客自身が成果を実体験することになります。

また、直接成果を示す以外にも、同業界の顧客を引き合わせて、自身に置き換えて成果を想像させる方法も効果的です。
顧客は、自分と似た立場の人が成果を得た事例を聞くと、自らを同じ状況に置き換えて想像し、自身で自分を説得し始めます。
その結果、顧客は想像の中でサービスを体験し、価値を認めるようになるのです。
購入前にサービスが提供される営業活動を設計する
サービス品質が自社の強みとなる場合は、契約前に顧客の明確な意思を問わず、サービスを体験させる営業プロセスを設計することが有効だと感じられたでしょうか。
人は他人に説得されたと感じると拒絶することがありますが、顧客自身が成果を認めるよう仕向けることで、スムーズに納得してもらうことができます。

ソフトバンクに新卒入社後、法人向けセールスとしてキャリアをスタート。その後は法人マーケティングチームの立ち上げに携わり、ユーザーとしてSalesforceの活用を経験。以降、アビームおよびPwCにてSalesforceを中心としたCRM領域のDXプロジェクトに参画。構想策定から要件定義、開発、実装まで、幅広いフェーズでシステム導入プロジェクトに従事
