システム導入でツールの「設計思想」を考慮すべき理由

導入するシステムの選定にあたり、必要な機能を○×で一覧化し、対応の有無で選定するケースはよくあります。

しかし、このような導入方法だけではシステムの本質的な設計思想が考慮されず、長期的にはシステムそのものが業務の制約となる可能性があります。

今回はCRM領域において、システムの設計思想をなぜ考慮すべきなのかについて説明いたします。

システムが人の動きを制限

まず前提として忘れてはならないのは、システムは人の業務を制約するという点です。

「システムが許可していないから、その業務はできない」という状況は実際によく発生します。

たとえばCRM領域におけるマーケティングオートメーションツールには、

  • 配信数ベースで課金するサービス
  • ライセンス数に応じて課金するサービス

があります。

配信数ベースのツールは、ユーザー数を定義していないため、マーケティング部門以外の流動的なメンバーも利用することを想定しています。

インサイドセールスやフィールドセールスも含めて、組織横断で活用しやすい、コラボレーションを重視した設計思想です。

一方、ライセンス課金型のツールは特定のマーケターが強いガバナンスを持ち、コミュニケーションを主導する設計思想を前提としています。他部門が自由にメールマーケティングを行うことは考慮しておりません。

つまり、どちらのツールを導入するかによって、

  • メールマーケティングを担う組織が「全社的」になるのか
  • あるいは「マーケティング部門に限定される」のか

といった制約が発生します。

いわば、中央集権型か分散型かという設計思想の違いが、業務のあり方に直接影響してしまうのです。

CRMは組織の成長に応じて使う機能が変化

CRM領域においては、どれだけ導入時に機能を精査しても、設計思想の観点を避けることはできません。

なぜなら、マーケティングツールの活用内容は、組織のスキル向上に伴って、導入後に自然と変化していくからです。

たとえば、インサイドセールスの練度が上がれば、自部門主導でメールマーケティングを実施したい、という要望が出てくる可能性もあります。

その際、施策の実行をマーケティング部門に依存していてはスピードが落ちてしまい、結果としてツール自体がボトルネックになってしまうケースも起こり得ます。

CRM領域では、「定義済みの機能だけを利用する」という考え方自体が、成長や高度化の妨げになる場合があります。

練度に応じて活用できる範囲が広がるのであれば、より高度な施策に挑戦するべきだと考えます。

設計思想を理解し、それを活かす導入と開発が必要

まとめると、システムの導入時には、機能比較だけでなく「そのシステムがどのような姿を目指して作られたのか」という設計思想を理解する必要があります。

もちろん、設計思想は各ツールの専門家に聞かないと分かりにくい部分でもあります。

しかしCRM領域では、組織の練度向上とともに利用する機能が変化していく点を踏まえ、見過ごさないようにしたいところです。

システム導入に関わる場面では、ぜひ検討材料の一つとして意識していただければと思います。