テレアポ、アウトバウンドコールは、非効率だと言われることが少なくありません。
実際、ビジネスの内容やフェーズによって、向き不向きが大きく分かれる手法です。
今回は「アウトバウンドコールの本当の役割とは何か」という観点から、どのように活用すべきかを解説します。
原則として、説得はできない
結論から言えば、アウトバウンドコールで人を説得することは原則として不可能です。
仮に適切な担当者につながったとしても、相手が応答してくれる時間は長くて5分程度でしょう。
この短時間で相手の考え方そのものを変え、行動を促すことは現実的ではありません。
つまり、アウトバウンドコールは「説得の場」ではないのです。
では、アウトバウンドのトークスキルとは何なのでしょうか。
それは「本当は興味を持っている顧客を取りこぼさないスキル」だと考えるべきです。
ベテランのアウトバウンド担当者は、顧客が内心では関心を持っているにもかかわらず、表面的な理由で断ってしまうケースを最小限に抑える技術を持っています。
相手が少しでも胡散臭いと感じれば、興味があっても断ることは珍しくありません。
経験豊富な担当者は、その不信感を払拭することに長けているのです。
ただし、これは説得によって顧客の価値観や考え方を根本から変えているわけではなく、あくまで「本来あった関心を、正しく表に出せている」に過ぎないのです。
市場に存在する「可能性」を探る行為
アウトバウンドの時点で、ニーズが完全に顕在化している顧客は極めて稀です。
顕在化している状態とは、顧客がまさに課題を自覚し、解決策を探しているタイミングを指しますが、現代では、課題が顕在化すれば、顧客自身がインターネットで情報を収集できます。
何も調べず、アウトバウンドコールを待っているかのような顧客は、ほとんど存在しません。
そのため、アウトバウンドは基本的に「良い反応」から始まらず、厳しい反応からスタートするのが常です。
一方で、アウトバウンドコールには明確なメリットがあります。
それは、顕在顧客ではなく「潜在的なニーズを持つ顧客」にアプローチできる点です。
潜在ニーズの段階にある顧客は、自分自身でもそのニーズを強く意識しておらず、意識していないからこそ行動が起こらず、結果としてニーズが放置されています。
この段階でアプローチに成功すると、競合よりも一歩先に顧客との関係を築いた状態で商談を開始できます。
アウトバウンドとは、市場に存在する「今は見えない可能性」を探る行為なのです。
将来的にニーズを持つ顧客情報の管理
ただし、潜在ニーズを持つ顧客の獲得だけにこだわるのは非効率です。
潜在顧客だけを追い続けても、数には限りがあり、継続的な成果にはつながりません。
重要なのは「可能性はあるが、今はタイミングではない顧客」を将来の成果に変えていくことです。
こうした顧客は、現時点ではニーズが顕在化していないため、自ら行動を起こすことはありません。
そのため、何の接点もなければ、関係性はそこで途切れてしまいます。
しかし、事前に連絡先や属性情報を取得できていれば話は変わります。
定期的なアプローチによって、必要なタイミングで適切な提案が可能になります。
アウトバウンドとは、一過性のアプローチではなく、繰り返し接点を持つことで、徐々に顧客との距離を縮めていく手法です。
そのため、長期的にアウトバウンドに取り組むのであれば、SFAやCRMを活用した顧客情報の蓄積と管理は欠かせません。
これからアウトバウンドに取り組むのであれば、アポイント獲得だけでなく「顧客情報の収集」そのものを目的の一つとして捉えてほしいと思います。

ソフトバンクに新卒入社後、法人向けセールスとしてキャリアをスタート。その後は法人マーケティングチームの立ち上げに携わり、ユーザーとしてSalesforceの活用を経験。以降、アビームおよびPwCにてSalesforceを中心としたCRM領域のDXプロジェクトに参画。構想策定から要件定義、開発、実装まで、幅広いフェーズでシステム導入プロジェクトに従事
