開封率やクリック率など、割合の指標を目標管理(KPI)に用いているケースをよく見かけます。
しかし、これらの割合指標を長期的に運用すると、恣意的な数字を生み出しやすくなるため、避けたほうが無難です。
今回は、割合をKPIに設定することのリスクについて説明し、適切な数値運用を検討するきっかけにしていただければと思います。
割合は設定者側にとって設定しやすい
割合というデータは、目標を設定する側にとって非常に扱いやすい数値です。
現時点で得られる限られた情報だけでも設定できるため、大きな手間をかけずに目標を作ることができます。
一方、実数で目標設定を行おうとすると、その数値が本当に達成可能なのか、どのようなロジックで積み上げるのかを詳細に検討する必要があります。
さらに、特定の期間ごとに数値を管理する場合は、期首・期末の季節変動やイベントによる影響など、時期による数字のブレも考慮しなければなりません。
また、企業の成長に向けて前年からどの程度の上積みが必要なのかを検討し、その妥当性について関係者間で調整することにも、多くの労力がかかります。
割合という数字には、こうした細かな調整を不要に感じさせるシンプルさがあるため、目標設定を行う側は、割合で評価したくなる動機を持ちやすいのです。
割合は分母をコントロールする動機を生む
しかし、割合指標には大きな問題があり、それは、分母を減らすことで数値を向上できる点です。
目標設定の段階では、適切な運用を前提として合意されますが、分母を抑えることで実績をコントロールできる状況が生まれると、「登録や活動を控える」という動機が発生してしまいます。
そして、この行動を完全に防ぐことは非常に困難であり、たとえば、メール施策の実行数や商談に向けた提案数を減らせば、メールの開封率や商談化率は簡単に向上します。
その結果、状況によっては「活動しないこと」が合理的な選択になってしまいます。
メール配信においても、必ず開封するユーザーは一定数存在するため、そうしたユーザーだけに配信すれば、開封率は100%になりますが、それは本来の施策目的から大きく外れた結果となります。
また、受注率を高めるために提案のタイミングを意図的に遅らせるといった行為も、本末転倒と言えるでしょう。
目標管理では実数を重視しよう
割合データそのものが不要というわけではなく、顧客が何をどの程度購入する傾向があるのかといった分析や、改善ポイントを把握するためには有効に活用できます。
ただし、目標管理においては、評価軸を絶対数に置き、割合はあくまで参考情報に留めることをおすすめします。
絶対数はごまかしが効かない結果として表れるため、数字が足りない場合、その差を埋めるためには、数字を増やすための本来の活動を行うしかありません。
自社の目標管理という観点では、割合に頼るのではなく、絶対数で評価する運用を心がけましょう。

ソフトバンクに新卒入社後、法人向けセールスとしてキャリアをスタート。その後は法人マーケティングチームの立ち上げに携わり、ユーザーとしてSalesforceの活用を経験。以降、アビームおよびPwCにてSalesforceを中心としたCRM領域のDXプロジェクトに参画。構想策定から要件定義、開発、実装まで、幅広いフェーズでシステム導入プロジェクトに従事
