近年、SaaSを中心にアジャイル開発が広く定着し、小規模なシステム開発ではアジャイルを前提としてプロジェクトを進めるケースがほとんど、という企業も少なくないでしょう。
今回はアジャイル開発について、プロジェクトを無事に完了させるために、開発側とユーザー側の双方が理解しておくべきポイントを整理したいと思います。
開発側はユーザーを強くリードが必要
アジャイル開発というと、要件定義の段階で内容を完全に固めるのではなく、開発を進めながら柔軟にユーザーの要望を反映していく手法、というイメージを持つ方が多いでしょう。
教科書的にはその理解で間違いありません。しかし、実際の現場では開発期間には明確な期限があり、その限られた期間内で成果を出さなければなりません。
この前提を開発側が強く意識せずに進めてしまうと、最終的に提供されるプロダクトが中途半端なものになってしまうリスクがあります。
いくら優先度を付けて「アジャイルなので、その他の要望は次フェーズで対応します」と説明したとしても、ユーザーの満足度は上がりにくく、「結局対応してもらえなかった」という印象だけが残ってしまうことも少なくありません。
ユーザーの要望をただ聞き続けるのではなく、明確なゴールに向けてユーザーを導き、決めるべきことをどんどん決めていく姿勢が、アジャイル開発ではより重要になります。
ユーザー側にも「終わらせる覚悟」が必要
アジャイルプロジェクトは、開発側だけでなくユーザー側にも「終わらせる覚悟」が求められます。
ユーザーが要望を出す際に、完成形を見据えずにその場の要望だけを積み重ねてしまうと、プロジェクト完了時点で「結局ほとんど反映されていない」という状態を招きかねません。
残りの開発工数や期間をユーザー側も強く意識しながら、要望を出すことが重要です。
工数やスケジュールを考慮せずに要望だけを出し続けてしまうと、最終的には遅延を引き起こし、プロジェクト全体の満足度を下げる結果につながる可能性があります。
ゴール意識の一致が重要
アジャイルプロジェクトを成功させるためには、事業者側・顧客側の双方がプロジェクトのゴールを強く意識することが不可欠だと考えています。
特に、顧客側に対してこの点の説明が不十分なまま進めてしまい、「終わらせる」という意識が共有されていない場合、結果として誰も満足しないゴールに向かってしまいがちです。
事業者側は、顧客がアジャイル開発の特性を正しく理解し、「このプロジェクトをどう終わらせるのか」を意識できるよう、丁寧に説明し続ける努力が求められます。
アジャイル開発は自由度が高い手法だからこそ、ワンチームとして同じゴールを見続けられるかどうかが、成否を分けるのです。

ソフトバンクに新卒入社後、法人向けセールスとしてキャリアをスタート。その後は法人マーケティングチームの立ち上げに携わり、ユーザーとしてSalesforceの活用を経験。以降、アビームおよびPwCにてSalesforceを中心としたCRM領域のDXプロジェクトに参画。構想策定から要件定義、開発、実装まで、幅広いフェーズでシステム導入プロジェクトに従事
