SFAの定着を目的として、「業務設計によってSFA入力を強制する」という実装アプローチが取られることがあります。
活用を見据えた方法のように見えますが、私がこれまで見てきた現場では、必ずしも導入成果につながっていないケースが少なくありません。
今回は、業務設計による入力必須化のどこに問題があるのかを整理してみたいと思います。
SFA入力が無ければ業務を完了できなくする
業務設計で「SFA入力がなければ業務を完了できない」状態を作るとは、営業活動上の重要なタスクを、SFA入力と連動させてしか実行できないようにすることを指します。
たとえば次のような仕組みです。
- SFAに情報を登録しないと見積書を発行できない
- 契約書を作成できない
一見すると有効そうに見えますが、実際にはこの仕組み単体でうまく機能させるのは難しいのが実情です。
受注確定時にまとめて入力されるだけ
多くの場合、結果として起きるのは「入力の先延ばし」です。
商談の途中では入力されず、後工程に押し込まれていきます。
そして最終的には、受注時にまとめて入力する運用に落ち着いてしまうケースが非常に多く見られます。
システム上で入力を強制しても、現場ではExcelなどの代替ツールで業務が進められ、SFAは「後から登録する場所」になってしまいます。つまり、根本的な解決にはつながりません。
さらに厄介なのは、受注時に情報が入力されていることで、関係者に「SFAは活用されている」と誤解を与えてしまう点です。実際には現場の活動とは切り離された運用になっているにもかかわらず、成功しているように見えてしまいます。
断面で見なければ意味がない
SFAの本来の目的は、受注結果を記録することではありません。
商談の途中時点、つまり“断面”の情報から将来の見込みを把握することにあります。
重要なのは、「今のパイプラインが最終的な目標に対してどれだけ不足しているか」を把握することです。
受注結果だけでは判断できません。
たとえば、直近の受注が安定していたとしても、将来の見込み商談が存在しなければ、すぐに新規商談を創出するアプローチを検討しなければなりません。
結果しか入力されないSFAでは、受注に向けた適切なアクションを支援することができないのです。
無理に入力させる発想から離れる
システムや業務の観点で「どうやって入力させるか」だけを考えていては、目指すべきSFA運用には到達できません。
大切なのは、商談途中の最新情報が自然に更新されていく組織を作ることです。
そのためには、メンバーが入力の意義を理解し、実際の営業活動に役立つと実感できる状態を目指す必要があります。
SFAは強制によって定着するものではありません。
「入力しなければ困る」ではなく、「入力した方が自分の仕事が進む」と感じられる導入こそが、真の活用につながります。

ソフトバンクに新卒入社後、法人向けセールスとしてキャリアをスタート。その後は法人マーケティングチームの立ち上げに携わり、ユーザーとしてSalesforceの活用を経験。以降、アビームおよびPwCにてSalesforceを中心としたCRM領域のDXプロジェクトに参画。構想策定から要件定義、開発、実装まで、幅広いフェーズでシステム導入プロジェクトに従事
