システム開発を伴うプロジェクトや営業活動において、顧客の期待値を超えるサービスを提供することは非常に重要です。
しかし実際の現場では、「最大限努力した attaching=顧客満足につながる」とは限りません。
今回は、顧客の期待値を踏まえて品質をコントロールするために押さえておくべきポイントについて説明します。
最大限努力することではなく、「期待を超えること」が重要
顧客対応において「期待値」という観点が重要である理由は、最終的な顧客満足が、実際の成果そのものよりも“期待とのギャップ”によって大きく左右されるためです。
どのような環境であっても、時間や資金を含めたリソースは無限ではありません。
仮に無制限にリソースを投下して顧客の期待を上回ったとしても、
・コスト超過
・スケジュール遅延
・担当者の疲弊
といった別の問題を引き起こし、結果的にマイナス評価につながる可能性があります。
私たちが目指すべきなのは、「過剰な品質」ではありません。
顧客の期待を満たし、なおかつ少し上回る“適切な品質”でサービスを提供することです。
期待には必ず「前提」が存在する
ここで重要になるのが、期待には必ず前提条件が存在するという点です。
顧客は、何もない状態で期待を持つわけではありません。
必ず次のような前提をもとに期待を形成しています。
- 予算はいくらか
- 体制は何人か
- 期間はどれくらいか
- 一般的な相場や実績はどの程度か
たとえば顧客の頭の中には、
「この予算と人数なら通常は○カ月かかるはずだ」
という基準が存在しています。
その前提に対して、
「弊社のノウハウにより短期間で実施できます」
という合意が成立したとき、はじめて“期待を超える状態”が生まれます。
つまり、期待を超えるかどうかは成果物の絶対品質ではなく、前提との比較で決まるのです。
顧客要望の前提を明確にし、想定結果を伝える
実務のコミュニケーションで期待値コントロールが失敗する最大の原因は、前提を曖昧にしたまま会話を進めてしまうことです。
顧客と会話する際には、以下を意識する必要があります。
- 顧客が想定している前提を確認する
- 自社の前提条件を明確に伝える
- 想定される結果を具体的に説明する
特に、「できますか?」という問いを受けた場合は注意が必要です。
この質問に対して単純に「できます」と回答してしまうと、顧客側の前提と自社側の前提がずれたまま合意が成立してしまいます。
その結果、どれだけ努力しても期待に届かない、という状況が発生します。
まずは冷静に、前提条件が揃っているかを確認することが重要です。
前提が一致していない状態での努力は、多くの場合、期待に合致した成果にはなりません。
顧客満足は、成果物の品質だけで決まるものではありません。
むしろ「どの前提で、どの結果になると理解してもらったか」が大きく影響します。
期待値の背後にある前提を意識してコミュニケーションを取りましょう。

ソフトバンクに新卒入社後、法人向けセールスとしてキャリアをスタート。その後は法人マーケティングチームの立ち上げに携わり、ユーザーとしてSalesforceの活用を経験。以降、アビームおよびPwCにてSalesforceを中心としたCRM領域のDXプロジェクトに参画。構想策定から要件定義、開発、実装まで、幅広いフェーズでシステム導入プロジェクトに従事
