今回は大手人材R社で「ヨミ表」管理を実践した営業管理者様から、匿名でお話を伺いました。
大手人材R社には「ヨミ表」と呼ばれる営業の管理手法が根付いており、これをマスターした候補者様は求人広告からITまで業種を跨いで活躍されてきました。
様々なメディアが取り上げる「ヨミ表」についてインタビューをお届けします。
候補者様 自己紹介
──それではまずはじめに、大手人材R社へ入社された背景からお伺いしてもよろしいでしょうか。
大手人材R社には新卒で入社した後、暫くの間は求人広告の営業を担当していました。今の○○(某有名転職サイト)ってご存知でしょうか?
──勿論です!有名ですね。
今はオンラインとなっていますが、当時はまだ紙媒体でした。新卒入社時、当面の間は、求人広告営業に従事しました。その後はいまでいうSaaSのようなネットワークサービスの営業もやっていました。自分の中での営業経験は、主にこの2つですね。
大手人材R社の営業管理手法「ヨミ表」
──今回のお聞かせ頂ける営業管理についてですが、取り組まれていたのは求人広告営業のところでしょうか。
そうですね。まず始めに大手人材R社が行なう営業管理手法について、お話しさせてください。
大手人材R社はどんな部署でも、同じような営業管理の方法を採用しています。
「ヨミ表」ってご存知でしょうか。検索すると出てきますが、見込み管理の手法のことを大手人材R社ではヨミ表と呼んでいます。
ヨミ表をつかって、現在の見込みや目標額までの数字を確認しつつ、案件をどのように攻めていくかなどのいわゆる戦略会議、これを大手人材R社ではヨミ会と呼び、毎週必ずおこなっています。
ヨミ表の活用と毎週のヨミ会の実施はどの営業ユニットでも必須です。
──ありがとうございます。読み表はプロセスごとに分けられているという認識でよろしいでしょうか
通常の営業であればアポ、ヒアリングなどプロセス管理に重きをおくところですが、大手人材R社のヨミ表では、案件ごとの成約確率の見極めをおこないます。
お客さまの返答から得られる情報をもとに、進捗が今どうなっているのかを判断します。大手人材R社ではこのことを「プロセス」と呼んでいるんです。
──検討の進捗が現在どこの段階にあるかを見る、ということですね。
そうです。見込みの確度ごとに、「Aヨミ」「Bヨミ」「Cヨミ」と言います。
「Aヨミ」はすでに契約の合意ができていて、事務手続きのみの段階です。
「Bヨミ」は担当までは承諾を得ていて稟議を通している段階です。組織の中で稟議に向けて課題があれば、解決のために提案することもあります。組織の中にネガティブな意識を持っている人がいればその人同席の上で、再度商談を設定するケースも考えられます。
「Cヨミ」は商談化にこぎつけた状況です。すでに情報収集は終わっていて、お客さまから提案をしてほしいという要望をいただいている段階です。
ヨミの見極めは重要なポイントです。「Aヨミ」の見極めでは、お客様から見積もりの要望があった場合に、「その後稟議が社内で止まることはありませんか?」など踏み込んだヒアリングをします。または「担当役員の人の了承は得られていますか?」などの質問に対して、全てに良い返事が得られた場合はAヨミです。
あまり良い返事が得られず、「もう少し待ってくれ」という返答ではBヨミという判断をします。お客さまとのやり取りの中でヨミの精度をあげていくイメージです。
──つまり最初に訪問した段階で「Aヨミ」から始まる場合もある、ということですか?
そうです。その点が普通の営業と違うところですね。普通の営業は会社の案内をして課題をヒアリングするなど、営業目線のプロセスがありますが、大手人材R社流の営業では、いきなり電話で受注してもかまわないんです。
お客さまの検討具合を深くチェックしていく、いわば営業目線でなくお客さま目線の営業プロセスがヨミを元にした大手人材R社流営業スタイルです。
──ちなみに「Cヨミ」にすら値しないものはどうなるのでしょうか
そうですね、今すぐに商談化しにくいものは、セミナーなどへ案内して事例をお伝えする、いわゆるニーズの醸成にとどめておきます。定期的フォローによってニーズをヒアリングし、段階的にヨミをあげていきます。
営業活動ではCやそれ以下の活動が多くなりますが、その中から確度を上げていくのがポイントです。
──何もないところから「Cヨミ」にあげるとき、営業目線でここがポイントなどはあるのでしょうか
見るべきは組織として課題にあがっているか、です。商品に関する疑問を個人的に聞いてくる人もいるので、注意が必要です。
具体的に検討する場合はレポートを上司に上げますので、「その後上司の方の意見はいかがですか?」などのヒアリングを交えつつ、より確度の高い見極めをすすめます。
無理にCへ上げることはできないと思います。お客さまからよい返事を貰えない限りは、前には進めないですね。
「ヨミ表」管理は伝統
──ありがとうございます ご自身が実施されてきたプロセス管理は、会社に根付いていたものをそのまま利用したという感じでしょうか
そうですね。大手人材R社では何十年も前から実施していますし、今でもまだ続いているようです。「ヨミ表」を使った管理は、すべての営業ユニットでもれなくやっています。
外資の会社で働いたこともありますが、営業が強い会社は似たようなことをやっていますね。
メンバーの管理とそれぞれの案件にたいして、なにが問題で次にどうするか?ということを、細かくチェックするということを必ずセットでやっていますね。
大手FA機器メーカーK社でも同じようなことをやっているそうです。大手FA機器メーカーK社もかなり強い営業組織を持っていらっしゃるじゃないですか。すごい似てるなというふうに私は感じましたね。
ヨミ表の管理をやっていない会社にいたこともあるんですが、その時わたしは一人ヨミ会をやっていました。あと、自分の部下にだけはやらせていましたね。
──やっぱり有効なんですね。ありがとうございます。
そう思います。検索すると出てくると思いますよ。NewsPicksなんかでも特集で取り上げられたこともあったように思います。
「ヨミ表」におけるメンバーフォロー
──今までチームメンバーがうまく「Aヨミ」を取れない場合、管理者としてどのような指導をされていましたか。
ヨミ表にはヨミ会がセットになっていますので、毎週一回の1on1営業ミーティングにて、
「ここをこうしたらよいのでは?」「こんな質問を投げかけてみては?」など、管理者としてできることをアドバイスしています。
ヨミ会でおこなうのは、案件の状況、阻害要因などの分析です。
──アドバイスをしつつヨミ表の確度をあげていくということですね
そうですね、目標達成に向けた行動量は足りているのか、という点も大切です。
例えばもうAがほとんどない、Cが少なすぎるため来月はきついのでは?など、直近の数字や中長期の数字の達成に向けた分析を進めます。
その他に、個々の案件の進捗具合なども細かくチェックした上で、行動量が少ないのでは?新規の量が少ないのでは?など、のアドバイスをおこないます。
──行動量が少ない場合の行動量とは具体的にどのような内容でしょうか?
訪問回数やコンタクトとの数、提案 情報提供の量や質ですね。質と量の両方をチェックします。
──「ヨミ表」管理するときはSFAなどを用いるのでしょうか
そうですね。基本的にはなんでも良いとは思いますが、SFAは特に便利ですね。活動の履歴は残りますし、商談のネックなども一目でわかります。一日が終わったらSFAを使って必ず全体を確認します。
ヨミ表の変更や案件の来月へのスキップなど、日々の変動にたいして、見込み数字に関わる変更は細かくチェックし変更します。
足りないところを読みつつ、肌に感じて行動してもらうという点においてSFAは有効です。
「ヨミ表」は誰でもできる
──ありがとうございます。ヨミ表はとても優れた手法だと思うのですが、新卒や中途の人が入社したときにそのやり方にすぐ馴染めるものでしょうか
文化が違う会社でヨミ表による管理を取り入れる場合は、上層部の人との合意が必要かもしれません。
ただ、どこの会社でも見込み管理はしていますし、見込み管理表はあると思います。つまりは、誰でもできるのではないでしょうか。
──逆にヨミ表がない会社へいったときに、人の育成で「ヨミ表」に慣れてもらうのに、苦労したことはありますか?
私がいまお手伝いしている会社も、元々ヨミ表はありませんでした。
「ヒアリング時に違う質問ができた」「商談が前に進んだ」「受注した」などうまく運用できれば細かい成功体験が生まれますので、早い段階でメリットを感じてもらえれば、スムーズに導入できるのではないでしょうか。
──慣れていない人でも、小さな成功体験を積み重ねていくことで慣れていくということですね。
そうですね
──ありがとうございます。ヨミ表の仕組みを営業マネージャーの立場で取り入れようとしている方がいれば、その人へどんなアドバイスをされますか?
すぐにうまくできるかというと、難しいですがやれないことはありません。つまりやればできるということですね。
営業目線ではなくお客さま目線に重点をおいて、部下がそのような行動ができるか、こちら側の都合でなく相手の都合で物事を考えると良いですよ、とアドバイスしています。
──本日はお忙しい中、ありがとうございました!
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