マーケターを営業現場に循環させよ

マーケティング視点を持つ営業人材の育成は、意識して取り組む価値があります。

私は、マーケティング部門の次のキャリアとして「マーケティング観点を持つ営業」という選択肢を、積極的に提示すべきだと考えています。

これは個人のキャリア形成だけでなく、組織全体にとっても良い影響をもたらします。

営業側のマーケティング視点の理解

マーケティング的な視点は、マーケ部門と営業現場の間で距離が生まれがちです。

営業は受注に近い視点を持ちやすく、マーケティングはその前提となる集客や認知のフェーズに軸足を置いています。

そのため、営業側からはマーケターがどのような意図で施策を回しているのかが見えにくいことも少なくありません。

特に、施策のサイクルがうまく回っていない状況では、その背景や課題が共有されないまま不満だけが残るケースもあります。

「どのように顧客をナーチャリングし、どのタイミングでホットリードとして営業に渡すのか」。この考え方を現場で理解・翻訳できる“伝道師”の存在が重要です。

営業現場によるマーケ施策検討の機会

マーケティング施策が、どのような仮説や観点で企画されているのかを営業側と共有できれば、営業サイドから施策やコンテンツの改善案が出てくるようになります。

営業は日々、顧客と直接向き合っています。
その現場感覚とマーケティングの設計思想が結びつくことで、より実態に即した施策検討が可能になります。

また、生成AIの活用により、コンテンツ制作の負荷は以前と比べて大きく下がっています。
「アイデアを出す人」と「形にする人」を分けて考えやすくなった今こそ、営業の知見を施策に反映しやすい環境が整っています。

営業を含めたマーケティング文化の醸成

統一されたマーケティング視点を、組織全体の共通認識として持つことができれば、部門をまたいで効率的な活動が可能になります。

例えば営業から、
「課題認識前のフェーズにいる顧客を次のステップに進めるコンテンツが不足している。過去事例をもとに新しいコンテンツを作れないか」
といった具体的な要望を、マーケ部門と建設的に議論できるようになります。

この状態は、営業とマーケが分断されている組織ではなかなか生まれません。

営業からマーケへのアップデート

さらに、営業からマーケ部門への人材や視点の循環があると、マーケ側も現場感覚をアップデートできます。

マーケティング部門は情報を論理的に整理する役割を担いますが、実際の営業プロセスは理屈だけでは説明しきれない要素を含むことも多いものです。

「有効だと思っていた施策が、現場では刺さっていない」
そのズレに気づけたとき、新しい施策を検討する貴重な機会が生まれます。

マーケターを営業現場に循環させることは、単なる人事ローテーションではありません。
組織全体のマーケティング力を底上げするための、重要な仕組みだといえるでしょう。