コンサルティングで生じるコントロール不能

近年、コンサルティングセールスという手法が市場で広く使われるようになってきたと感じます。

AIによって答えそのものは容易に得られる時代になり、「本当の課題は何か」という問いを立てること自体に価値を置くコンサルティング型のアプローチは、今後も多くの営業現場で重宝されていくでしょう。

一方で今回はあえて、コンサルティングセールスが必ずしも有効とは言えないケースについて解説したいと思います。

コンサルティングセールスは議論を広げるアプローチ

コンサルティングを行うということは、顧客が抱えている課題を漏れなく・ダブりなく洗い出し、構造的に整理することに他なりません。

この過程で、もし自分たちに都合の悪い課題や、扱えないテーマを恣意的に除外してしまうと、顧客の視点から見たときに違和感のある整理になってしまいます。

つまり、コンサルティングセールスが特に向いているのは、顧客がどのような課題に関心を示しても、何らかの解決策を提示できる業種やサービスだと言えます。

たとえばシステム開発会社であれば、売上向上からコスト削減、業務効率化まで、外部のリソースやパートナーを活用することで、幅広いソリューションを提示することが可能でしょう。

サービスが限定的すぎる場合は向かない

では逆に、自身が扱っているサービスが、限られた機能しか持たないSaaSだった場合はどうでしょうか。

仮に会計サービスを提供しているとして、顧客が「従業員のモチベーション低下」を最大の課題だと捉え、議論がそちらに傾いてしまった場合、自分たちが提案できる領域から大きく外れてしまいます。

しかし、冒頭で述べたようにコンサルティングのスタンスで顧客と向き合っている状態で、自分たちが扱いやすい課題だけを並べてしまうと、これもまた不自然さを生んでしまうのです。

対応課題が限定的なサービスは「課題起点」が重要

対応できる課題の範囲が限られているサービスの場合は、「幅広く課題を洗い出す」よりも、自分たちが解決できる課題そのものに、どうすれば顧客が関心を持つかという視点が重要になります。

言い換えると、自社の提供領域に顧客がピンポイントで興味を持つためのシナリオ設計こそが鍵になります。

スコープを網羅的に広げ、そこから絞り込んでいく議論の進め方は、サービスが限定的な場合にはコントロールが難しくなりがちです。

自社のビジネスを見極るべき

今回は、コンサルティングセールスも状況によっては有効ではないという点について説明しました。

大切なのは、流行しているからという理由で手法を選ぶのではなく、自社のビジネスモデルや提供価値に合ったセールススタイルは何かを見極めることです。

もし新しいセールススタイルの導入を検討する際には、メリットだけでなく、デメリットや制約にも目を向けたうえで判断していただきたいと思います。