ITによる効率化ではなく、業務自体を無くす発想

ITを用いて業務の効率化に取り組む、という発想は一般的です。しかし、効率化が常に最適な意思決定になるとは限りません。

場合によっては、効率化ではなく「業務そのものを廃止する」ことで、より大きな効果が得られるケースも存在します。

今回は、業務効率化を進める際に陥りやすいマイナス面について説明します。

いびつな業務のシステム化

まずありがちな問題として、効率化が目的化してしまい、本来見直すべき業務自体をそのままシステム化してしまうケースがあります。

本来であれば業務の構造や必要性を検討すべきにもかかわらず、「システムで回せるようにすること」が先行してしまうのです。

例えば、社内のワークフローにおいて、非常に多くのステークホルダーの承認を経なければ完了しない業務は典型例でしょう。

膨大で複雑な承認フローをシステム上で再現し、実行速度を上げることを「効率化」としてプロジェクトを開始する前に、そもそも承認フロー自体を簡略化できないか、権限移譲できないかを検討する方が、はるかに大きな効果を生むことも少なくありません。

こうした検討を行わないままシステム化を進めてしまうと、適切とは言えない現行業務が、そのまま固定化されてしまうリスクがあります。

コスト削減のインパクト無し

また、業務効率化は「業務を無くす」ところまで踏み込めないケースが多い点にも注意が必要です。

効率化に留まる以上、形は変わっても業務そのものは残り続けます。
誰かが実行しなければならない以上、担当者を完全に不要にすることはできません。

そもそも多くの業務改善プロジェクトは、売上向上やコスト削減といった経営的な成果を目的として検討されているはずです。その観点で見ると、人の配置自体を無くせない限り、業務から発生するコストを目に見える形で削減することは難しいと言えます。

業務効率化の結果が「多少仕事が楽になった」という状態に留まる場合、経営インパクトは小さく、結果として評価されにくいプロジェクトになりがちです。

まずは「業務自体を無くせないか」が重要

効率化に取り組む際には、「その業務は本当に必要なのか」「そもそも廃止できないのか」という視点を持つことが重要です。

不要な業務を効率化してしまうリスクや、実装後の効果が経営に与えるインパクトが限定的である可能性も、あらかじめ考慮する必要があります。

業務自体を廃止できれば、その効果は事前に数字として確定させることができます。これは、効率化では得にくい大きなメリットです。

業務効率化に着手する前に、まずは「この業務は無くせないか」という問いから検討してみてください。