SFAを導入したものの、なかなか定着しない。これは多くの企業で見られる課題です。
解決策として、営業担当者に対する研修が実施されることが一般的ですが、思うように改善しないケースも少なくありません。
私のこれまでの経験からお伝えすると、SFAの活用において本当にカギを握るのは営業担当者ではなく「マネージャー」です。
今回は、メンバーが感じる入力負荷というマイナス面を踏まえつつ、「マネージャー」という軸でSFA活用をどのように実現すべきかを解説します。
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どれだけ使いやすくしても、入力の手間はゼロにはならない
SFAで業務効率化を図ることは正しい方向性です。しかし、既存業務の負荷を軽減したとしても、「活動情報を登録する」という行為そのものは手間を伴います。
特に、商談ステータスを正しく・タイムリーに更新するほど、マネージャーは現場を正確に把握できますが、メンバーにとっては負荷として感じられがちです。
つまり、SFAによって業務全体が効率化されたとしても、営業活動の可視化に伴う入力負荷そのものは避けられません。
完全に自動化しても、入力の正確さは担保できない
近年は生成AIの発展により、会議やメール情報から自動でSFAを更新できる未来が見えつつあります。
しかし、いくら入力作業が自動化・簡易化されても、「正しい情報が入力されているか」という精度の問題は依然として残ります。
もしマネージャーが数字のプレッシャーだけを与え続ける組織であれば、メンバーは表面的に整えるために、情報を恣意的に修正したり、ダミーで入力するようになります。

「期中に立てた商談が、期末に近づくと一斉に失注クローズされる」「短期的な数字の帳尻合わせとしてダミー登録されている」こうした状況は決して珍しくありません。
マネージャーによるSFA活用へのコミットが不可欠
適切な情報入力は「営業担当者が頑張る」ことで始まるのではありません。
まずはマネージャーがSFAを起点に動く必要があります。
SFAは、マネージャーが効果的な施策を立案するための道具であり、その施策に必要な情報をメンバーが入力する、という順番でなければ機能しません。
この前提を明確に示し、実際にマネージャー自身がSFAを使い倒す姿勢を示した上で、メンバーに対して適切な情報更新を求めることが大切です。
- マネージャーは適切な施策を立案するためにSFAを活用しなければならない
- メンバーは施策立案に必要な情報を入力しなければならない

この関係性が成立して初めて、相互に納得してSFAが回り始めます。
単にメンバーに入力を強制するだけでは、何度研修しても定着しません。
文化として定着させ、営業組織のコアの強みにする
マネージャーによるSFA活用と施策立案が前提となり、メンバーの入力が適正化されると、やがてそれは「文化」になります。
これは個人に依存しない、営業組織としてのコアの強みです。
文化として定着すれば、メンバーが入れ替わっても自然とその文化に最適化された行動が取れるようになり、安定して強みを発揮する組織運営が実現できます。
SFA導入時には、「マネージャーがSFAを活用し、メンバーが入力を徹底する」という文化の構築を目指すことが最も重要です。

ソフトバンクに新卒入社後、法人向けセールスとしてキャリアをスタート。その後は法人マーケティングチームの立ち上げに携わり、ユーザーとしてSalesforceの活用を経験。以降、アビームおよびPwCにてSalesforceを中心としたCRM領域のDXプロジェクトに参画。構想策定から要件定義、開発、実装まで、幅広いフェーズでシステム導入プロジェクトに従事
